
ハゼロウを使ったヴィーガンエコラップ
みつばちラップをイベントで販売しているときでした。
「うちの庭にハゼノキがあるんだけど、エコラップの原料に使えないかしら」
お客様のそんな一言から始まりました。
まず、どんなものか調べるところから。
ハゼノキ…
ハゼロウ、櫨蝋、木蝋、白蝋…
ハゼロウというものが和ろうそくや鬢付け油の原料であるという事
江戸時代に西日本で盛んに栽培され、今は希少な存在であるという事
日本のハゼの実には日本酸という特徴的な成分が含まれており、粘性が強く品質の高いワックスが出来るという事
今でもJapanWaxとして海外にも輸出されている貴重な素材だという事
石油製品であるパラフィンの流通により国内でも数ヶ所しか製造していないという事
私たち日本人にとって、深いつながりのある素材なのに
知らない事ばかり出てきました。

特に九州で盛んに栽培されてきたハゼノキですが、
一般的には紅葉が見事なので植木として庭に植えて楽しまれています。
あのかぶれる漆の仲間、ウルシ科という事で敬遠される事もあります。
(実から摂ったロウにはかぶれる成分はありません)
ハゼノキ、ヤマハゼ、漆、色んな木の種類を調べていくと
意外と自分たちの身近に自生しているのでは?という事になってきました。
自然の多い淡路島の道を車で走っていると、ハゼノキらしき植物を見かけます。
気になって注意していると、ほとんど自生しているのでヤマハゼなのかもしれません。
実がたくさんついているのを見かけると気になるようになりました。
所有者にお願いして、実を収穫させてもらって集めたりしてました。
最初は、ハゼロウを自分たちで搾れないかと考えていたのです。
しかし、調べれば調べるほど質のよいものを精製するのは個人では難しいものだという事が
分かってきました。

集めたハゼの実は今後楽しい実験にでも使うとして…
そんなことを模索しているうちにこんなお客様も出てきました。
「ヴィーガン仕様のエコラップがあればいいのに…」
実際、ソイワックス等を使用した海外のエコラップも出てきました。
でも、ハゼロウという日本製の素晴らしい素材を見つけたのですから!!
ハゼロウを使ってエコラップを作れないかという本格的な試作が始まりました。

ハゼロウは粘りのある素材ですが、固形化すると逆にべたつかないという性質を持っています。
ミツロウに比べてさらっとして硬さもあります。
これをものが包めるようにしなやかさが出るように、それでいて強度もあるように。
何回も配合を変え試作をくり返し、みつばちラップとはまた違ったテイストのエコラップがようやく完成しました!
みつばちラップとハゼロウラップ。
みつばちラップほどラップ同士のくっつく力は強くありませんが、
一歳未満の赤ちゃんにも安心して使えたり、
ミツロウの弱点でもある酸に触れても問題ないという利点も多くあります。
使う場面や人によっては、こっちが使いやすいということがあったり
さわり心地が好きだという事があると思います。
ぜひ、使い比べて自分なりの使い方を見つけていって欲しいと思います。
また新しい使い方など発信していきたいと思います。
